Ⅵ.地域経済の活性化に向けて
1.中小商工業を町の主役に
平成21年総務部総務課の経済センサス・基礎調査によると、倉敷市の民間事業者は1万9,615事業所、総従業員数は21万人余り。全事業所の99.7%は中小企業であり、そこで働く人は全体の83%に上る。中小企業は倉敷の産業を支え、雇用の最大の担い手になっている。しかし、消費税の導入、増税を初め、際限のない重税や社会保障の改悪が暮らしに多大な苦難をもたらし、無秩序な工場、大型店舗の進出とともに、重層下請への犠牲転嫁や、逆輸入で中小企業の仕事は奪われ、経営状況は極めて深刻な事態が広がっている。
こうした中小商工業を文字どおり町の主役として位置づけ、市が積極的な支援を行っていくことが必要と考え、3つの施策、地域経済振興基本条例の制定、公契約条例の制定、住宅リフォーム助成制度の創設を求める。
①地域経済振興基本条例の制定について
▼文化産業局長(松原信一) 中小企業は本市の経済活動を支える重要な役割を担っており、その振興を図ることは極めて重要であると認識をしている。平成25年度には、市内の商工業の将来に向けた施策の展開方法について検討し、目指す方向性の体系化と、市民、企業、行政の施策の推進における役割を明確化して、商工業の振興に取り組む基本的な考え方をまとめた(仮称)商工業活性化ビジョンを策定し、商店街の活性化、中小企業支援、水島港、水島コンビナートの競争力強化、企業立地の推進などの取り組みのさらなる強化を図りたいと考えている。
②公契約条例の制定について
▼総務局長(橋本篤男) 公共事業に従事する労働者の公正な労働条件が確保されることは重要であると認識している。公契約条例については、現在、千葉県野田市を初め7自治体が制定している。国においても、地方公共団体での取り組み状況の把握や発注の際の工夫のあり方、最低賃金制度との関係について、なお研究を進めている段階と承知している。今後とも引き続き、国の法制化の動きや全国の自治体の動向を注視していきたい。
③住宅リフォーム助成制度の創設について
▼文化産業局長(松原信一) 市内の中小企業の活性化に向け、低利融資や新たな事業展開や販路拡大、研究開発などへの支援、人材育成の支援などを実施している。こうした取り組みが地域の中小企業を支えるとともに、高齢者等住宅改造補助金や、本年度、民間木造住宅耐震改修事業費補助金の補助率を上げ制度の拡充を行うなど住宅リフォーム関連施策の推進により、地域経済の活性化にも寄与しているものと認識している。
2.農家経営の支援を求めて
①生産緑地制度の実施を求める
防災機能や緑地環境機能、地域の景観形成、自然教育の場など、大きな役割を果たす市街化区域農地の保全が近年ますます重要になってきている。しかしながら、固定資産税が宅地並み課税により、10アール当たり10万円以上の固定資産税が課せられ、収益を上回るほどの納税を余儀なくさせられ、農家の経営そのものを脅かすことになっている。市街化区域農地の高過ぎる固定資産税の是正策をとり、国土の無償の管理人と言われる農家の経営を守ることは、市の役割ではないのか。固定資産税軽減策の一つとして生産緑地制度の導入を求める
▼建設局長(受川良美) 生産緑地制度を実施している他市の状況を確認する中では、上位計画との整合、土地利用の合理性や将来的な生産緑地の買い取りなど、さまざまな課題が見られる。全国的に生産緑地面積が減少している状況や、急激な都市化による緑地、農地などの減少が見られない本市の市街化区域内の土地利用の状況においては、直ちにこの制度の導入には至らないと判断している。
①重油高騰問題について
昨年末以降の円安や原油の高騰を受け、重油価格の高騰で温室農家の経営が圧迫されている。それに伴う農業資材の価格高騰も懸念される中、市として支援、対応が必要ではないか。
▼文化産業局参与(杉山一弘) 近年、A重油など燃油価格が高い水準にあることから、マスカットやスイートピーなど施設園芸の経費に占める燃油費の割合が大きくなっている。このため、平成21年度から県とともに、使用する燃油が少なくて済む省エネルギー型の設備へ転換費用の補助を実施している。また、国の平成24年度補正予算において、燃油価格高騰緊急対策が措置される見込みであり、主な内容として、省エネルギー推進の計画を策定し、燃油使用量の削減に取り組む産地に対し、省エネ設備導入費用の支援や、一定以上の燃料価格上昇に対する補填金交付などの支援を行うものと伺っている。本市としては、この国の新規制度についてその詳細がわかり次第、県や農協など関係団体と連携し、必要な取り組みを検討していきたい。
3.金融円滑化法について
中小企業の資金繰りを確保するため、金融円滑化法がこの3月末で打ち切られようとしている。経営環境が厳しい中、中小零細企業の資金繰りだけではなく、住宅ローン利用者の支援としても喜ばれてきた制度であり、中小企業、国民にとっての命綱とも言える仕組みを断ち切るべきではない。金融円滑化法は当面延長し、さらに使い勝手をよくすることこそ必要である。
金融円滑化法の果たしてきた役割についてどのように認識をしているのか、そしてその現状はどうなのか、また、市として、金融円滑化法の恒久化を国に求め、たとえ法期限が終了しても、円滑化法の趣旨を厳守するように、市として金融機関に求めるべきだと考えるがどうか。
▼文化産業局長(松原信一) 本年3月末をもって期限を迎える金融円滑化は、返済条件の緩和などを通じて、中小企業者の事業活動の円滑な推進を図ってきたものと認識をしている。同法の終了に伴い、金融庁は借り入れや返済について、取引金融機関との間の相談などに対応する相談窓口を2月22日に設置し、岡山県においても、岡山県中小企業再生支援協議会の機能拡充をするとともに、岡山県中小企業支援ネットワーク会議及び岡山企業再生ファンドの設立など相談体制を整備している。
本市としては、中小企業の皆様への情報提供やさまざまな相談に応じるとともに、金融機関に対して、貸付条件の変更などや円滑な資金供給に努めていただくようお願いをしたいと考えている。さらに、市内中小企業者の資金繰り負担を軽減するため、小口資金、小口零細企業資金などの各種融資について、この4月から最長融資期間を7年から当面の間10年に延長し、さらに岡山県中小企業再生支援協議会等で認められた事業再生支援案件に係る融資については、最長融資期間を超えて5年間延長するなど制度の拡充を図ることとしている。
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