倉敷駅付近連続立体交差事業、61億円工事費削減案は破たんが明瞭
倉敷市が言ってきた鉄道高架事業最大の効果は南北市街地一体化。しかし、その結果は、
9か所の踏切撤去(現計画) → 3か所しか撤去できず
24か所の道路立体交差が可能(現計画) → 11か所にとどまる
費用対効果B/c=0.85の結果を受けて、工事費縮減の検討を続けてきた倉敷市。
工事区間の縮小という岡山県の検討結果が出されたが、結果は上記のとおり。
これでは、効果・便益の下がることは必至。
前にも、後ろにも進むことができない倉敷市。
連続立体交差事業からの撤退しか道はありません。
一般質問原稿は次の通りです。
1. JR山陽本線等倉敷駅付近連続立体交差事業について
(1)岡山県発表(4/15)のコスト縮減や工法変更等の方策についての検討結果から
まず、4月15日に岡山県が発表した再評価の一環として、コスト縮減や工法変更等の方策について、JR西日本に委託して検討を行った結果から質問します。
昨年1月15日、県が、国の費用便益分析マニュアルに基づいた費用対効果の算定を行い、その結果を発表しました。費用対効果B/Cが0.85で、1を割り込んだものであったことは皆さん御承知のとおりです。本来、この結果を真摯に受けとめ、事業実施の是非を考えなければならないにもかかわらず、伊東市長は「このB/C算定数値は我々の感じる実態とかけ離れている」、さらに、「道路交通以外の便益も考慮すべき」などと言い、事業推進に前のめりになってきました。
市は、この間、なんとかコスト縮減でB/Cの数値を上げなければならない、との思いだったのでしょう。県・市・JR西日本の三者で協議を行ない、県がJR西日本にコスト縮減や工法変更等の方策を委託したのが昨年12月でありました。そして、その検討結果が4月15日に岡山県議会土木委員会で示されたわけです。
①-1 そこで、まず、この県が発表した検討結果報告について、市長の見解を今一度おうかがいしたいと思います。
①-2 市長は、
・4/15の市長コメントでは「引き続き、平成26年度にも具体的に検討していくということであり、一歩ずつ前進しており、事業再評価に向けて、前向きに考えていただいていると思っております」
・6/6の提案理由説明では「事業着手に向けて着実に前進しているものと考えている」
・ただ今の答弁でも「一歩ずつ前に進んでいる」
と「一歩ずつ、あるいは着実に前進している」と言われた。一体、何をもって前進していると言えるのか、その根拠についてお示しください。
①-3 昨年1月15日、県が費用対効果(B/C)0.85を発表して以来、市長並びに当局は事業推進のためにコスト縮減や工法変更等の方策で打開を図ろうとしてきました。
・H25年2月定例会、市長提案理由説明では「国、県、市、JR等の関係者でコスト縮減も含め十分検討する」
・同年9月定例会、市長、自由民主クラブ三村議員への答弁で「いま一層の費用縮減、もしくは工法の変更等、何かできることはないか協議を行っている」
・同年12月定例会、市長提案理由説明では「県は事業再評価の一環として、コスト縮減や工法変更等の方策について、多角的な検討をJR西日本に委託する」
このように、これまでコスト縮減のため工法変更は口にはしてきましたが、工事区間の縮小・縮減には触れてきませんでした。それは何故なのか、おうかがいしたい。
①-4 当初から「高架化区間の縮減」案による検討が決まっていたにもかかわらず、市長は何故この点について触れることをしなかったのか。市民、議会に対する説明責任の放棄ではありませんか。
私たちは、4月15日検討結果が発表されて初めて「高架化区間の縮減」という工事区間の縮小を検討していたことを知らされたわけです。これは、大変重大な転換です。
しかし、結果として、コスト縮減は工法変更ではなく「高架化区間の縮減」という形で検討結果が示されました。コスト縮減の方法は「高架化区間の縮減」を前提とした方策しかないという結論が得られたわけですね。
さる5月23日「民主県政をつくるみんなの会」で岡山県に対し鉄道高架事業中止を求める署名を提出し、事業の中止を申し入れました。その際、対応した県都市計画課課長他は、この検討結果について、「これに限定されるものではない」とは言いつつも、「現時点で得られる縮減案、実施可能な案である」と言明しました。
コスト縮減の方法は「高架化区間の縮減」を前提とした方策しかないのではありませんか、答弁を求めます。
② 次に「高架区間の縮減」が意味するところについて質問いたします。
私なりにも考えてみました。議長のお許しを得て資料を配布しております。パネルも用意しました、御覧ください。これは、2005年(H17)4月岡山県・倉敷市が作成したパンフレットに4月15日に県議会土木委員会で報告された資料の内容を書き込んだものです。上段が平面図、下段が縦断図です。当局に聞きますと、現在表に出せる図面は他にはないとのことなので、このパンフレットを用いさせてもらいました。
伯備線は3案出されていますので、工事費縮減額が最大となる検討案③の連続立体交差する範囲が(仮称)駅北2号線までの場合について検討しました。また、水島臨海鉄道については、今後の検討に委ねられるとのことですが、今回は山陽本線と並走していることからこれに倣いました。
縦断図をご覧ください。青色の線で示してあるのが縮減案から想定される縦断です。駅北2号線から現計画と同様の勾配で記入したものです。この考え方は市まちづくり部にも確認済みです。
②-1 それでは話の前提として確認しておきたいのですが、この連続立体交差事業の最大の効果、これまで度々議会で答弁されてきましたが、今一度お尋ねします。
答弁でも明らかなように、これまでも当局は、連続立体交差の最大の効果は「9箇所の踏切除却や都市計画道路6路線を含めた24の路線の道路との立体交差を一挙に行うことで、南北中心市街地を一体化できる。その結果、都市交通の円滑化及び回遊性の向上が図られ、都市防災機能も格段に高まる」と言ってこられた。
今度の検討報告では、9箇所の踏切除却、都市計画道路6路線を含めた24の路線の道路との立体交差がいったいどうなるのか、非常に大切な問題となっています。そこで、お尋ねします。
②-2 最初に、9箇所の既存の踏切についてはどうなるのか。
平面図をご覧ください。青色の○印で示されたところが既存の踏切です。当初の計画では、この9箇所の踏切が除去されることになっています。倉敷駅東側については縦断形状の変更はありませんから、西側についてお聞きします。
まず、山陽本線です。村東二(むらひがしに)踏切、八田井(はったい)踏切、この地点は「通行困難」となる。次に伯備線ですが、清音街道踏切は「撤去可能」ですが、八王子踏切、柳内(やなぎうち)踏切、この地点は「通行困難」。富久(とみひさ)踏切、東郷の浦(ひがしごうのうら)踏切は「現状のまま、踏切が残る」ことになるのではと思うのですが、当局の見解をおうかがいします。
②-3 私はただ思いつきで言っているわけではありません。この点は、さきの県に対し鉄道高架事業の中止を申し入れた際、対応した県都市計画課課長他から説明を受けたものです。
結局、9箇所の踏切撤去は一挙に行うことは出来ない。撤去できる踏切は3箇所に留まり、2箇所は踏切として残る。さらに4箇所の踏切地点は通行困難となる。まちがいありませんか。
②-4 次に 都市計画道路6路線を含めた24の路線の道路との立体交差についてお尋ねします。
縦断図をご覧ください。交差道路の赤枠で囲まれたラインは、高さ4.7mの建築限界線を示しています。この図から見てとれるのは、変更後の高架橋が建築限界を侵す、つまり頭が当たって、通行が困難になることを示しています。頭を屈めなければ通れないわけです。
平面図をご覧ください。結局、立体交差が可能なのは、①~⑪、⑰の12箇所にとどまる。主要都市計画道路の(都)大内老松線、(都)寿町八王寺線を含む12箇所、山陽本線は⑫~⑯まで、伯備線は⑱~22まで通行できなくなるのではありませんか。今まで以上に不便になる。お認めになりませんか、お答えください。
②-5 また、仮に、主要都市計画道路の(都)大内老松線、(都)寿町八王寺線を予定通り通行可能な形で設置するとすればどういう方法が考えられますか。
②-6 地面を掘り下げる、地下道化が必要になるのではありませんか。
「通ろうと思うと、地下道化が必要」県への申し入れの際、都市計画課の説明です。
②-7 結局、この検討報告の「高架化区間の縮減」がもたらすものは、連続立体交差の最大の効果として言ってきた「9箇所の踏切除却や都市計画道路6路線を含めた24の路線の道路との立体交差を一挙に行う」ことができなくなる。違いますか、はっきりお答えください。
③ 次に「高架区間の縮減」と費用対効果について質問します。
③-1 このたびの検討結果で工事費用は概算で最大61億円は下がることが示されました。しかし、効果・便益ついてどうなのかは語っていません。
私が、先ほどから指摘しているとおり、この検討案では撤去可能な踏切が3分の1に減ること、さらに通行可能な道路数も半減するとになると、効果・便益が減少することは誰の目から見ても明らかではありませんか。4月16日付山陽新聞でも指摘されているところです。市はこの点についてお認めになりませんか。
③-2 また、今後の費用対効果の算定について県は、先の申し入れの際「国の(費用便益分析)マニュアルに従う、変更はない」と明言されました。市があれこれその他の便益を加えて欲しい旨を要望しても、「移動時間短縮」、「走行経費減少」、「交通事故減少」の3項目について便益を算定する国のマニュアルに沿って行うということです。その点は理解されますか。
③-3 結局、先ほども言ったように「高架化区間の縮減」による見直しでは、既存踏切は残る、さらに予定している主要な都市計画道路を含め半数が通行困難になる。便益は当然下がる。これでは全く鉄道高架は必要ないという結果が自然と導かれてくる。現計画そのものも破たんしていることが明らかになったのではありませんか。
(2)倉敷地区都市拠点総合整備事業計画の見直しと鉄道高架事業
①‐1 市長は、2013年(H25)6月定例会自由民主クラブ日向議員への答弁で、倉敷地区都市拠点総合整備事業計画の見直しに当たっては「倉敷駅の鉄道高架事業を踏まえたまちづくりの姿について示していけるよう、市として取り組んでいきたい」旨を述べられました。
先般、岡山県から鉄道高架事業について「高架化区間の縮減」による検討結果が出されたわけですが、現段階において、鉄道高架事業を踏まえたまちづくりとはどういうものなのか、市長はどういうビジョンを持って見直しに臨んでいるのかお聞きします。
2013年(H25)9月定例会で自由民主クラブ三村議員の質問に答えて、倉敷地区都市拠点総合整備事業計画の見直しについて、市長は、こう言われました。「48万都市の顔としてふさわしい中心市街地の姿を示す」しかし、こうした考えで本当に良いのでしょうか。
倉敷市都市計画マスタープランには、確かに「倉敷市の顔となる広域拠点の強化」と書かれています。しかし、その前提は、「各地域・地区の中心部と水島臨海工業地帯を拠点と位置づけ、それぞれの都市的機能・地域資源を積極的に生かした均衡ある発展や、各拠点の連携による、まち全体としての総合力の向上をめざす」とあるように、あくまでそれぞれの「顔」を大切にした「均衡ある発展」や「各拠点の連携による、まち全体としての総合力の向上」ではありませんか。
倉敷市中心部を「顔」と言ってしまえば、玉島、児島は手か足か、ということになってしまいます。かつて、こうした議論があったとも聞いていますが、均衡ある発展という観点にたてば「顔論」、こうした発想は出てきません。旧倉敷地区は、人口でいえば19万人にすぎません。「48万都市の顔」とか大きなことは言わずに、身の丈に合った都市整備計画を立てるべきではありませんか。
①-2 この連続立体交差事業計画が持ち上がって23年、寿町踏切の地下道化が発表されてすでに28年が経過します。この間、対象区域内の住民を始め関係者の方々は、市の姿勢に翻弄させられてきました。さらには駅南口のバリアフリー化、商店街へのアクセスの改善をはじめとする様々な要望も、先ずは鉄道高架事業から、ということで後回しにされています。今後、この見直しを推し進めていけば、さらなる不安と混乱をもたらすものになるでしょう。
「高架化区間の縮減」による見直し検討、ここに至っては、岡山県は事業撤退の理由を探しているのではないか、とも感じられるのですが、どうでしょうか。
①-3 改めて申し上げたい。市として、連続立体交差事業は断念すること、懸案の寿町踏切の安全対策は都市計画決定されている地下道化で改善することを強く求めておきたいと思います。
2. JR倉敷駅南口スロープ存続を求めて
JR倉敷駅南口スロープの存続を求めて質問いたします。
このスロープは、倉敷駅舎の南北の自由通路を車いすでも通行できるように改善をしてもらいたいとの要望にこたえ、2006年(H18)9月定例会で予算計上され、設置され以後7年間、駅舎南北の往来にとって欠かせない設備として利用されてきました。このスロープを設置するにあたっては、会議録で調べてみますと、1995年(H7)6月定例会でわが党の小山博通元議員が最初に取り上げ、H8年には斎藤議員が、H13年には三村議員も同様の設置要望を行っています。実に10年がかりで設置がなった待ち望まれたスロープでした。
昨年2月定例会で、要望の強かった1階から改札フロアーにかけてのエレベータの設置が決定し、それと引き換えにスロープの撤去が行われることが予算上決定しました。しかし、多くの方々はスロープ存続を望んでいます。そこで、お尋ねします。
(1)JR西日本の「安全性の観点からの基準」について
① 昨年(H25)2月定例会での青空市民クラブ藤井議員の質問に対し、市長はスロープ撤去の理由として「JRの方が安全性の観点から基準があるので撤去しなければならない」旨の答弁をなさいました。スロープ撤去の理由がJRの基準と言うことでありますから、今少し、私の理解が追いついておりませんので、そのJRの「安全性の観点からの基準」というものを確認しておきたいと思っています。設置基準などの形であると思うのですがお示し願えればと思います。
② 「倉敷駅南口スロープの存続を求める会」からスロープの存続を求める請願が全会派の賛同を得て提出されています。議員諸氏も一旦はスロープ撤去の予算を認めたにもかかわらず、大義ある住民の熱い要望に対しては、その声をしっかり受け止めるという、その懐の深さは敬服に値するところであります。市長も、5月30日の定例記者会見で「スロープ存続を求める要望が出されていることはJRに伝える」旨の発言を行ったとも伝え聞いています。自由通路でのバリアフリーを実現していくのは、ほかならぬ倉敷市の役割であることから、スロープ撤去の見直しを市の責任として行ってもらいたいと思います。今後、建設委員会での請願審議に委ねられますが、私は存続を求めるものです。この場では要望にとどめておきたいと思いますがしっかりと考えてもらいたい。(要望)
3.養殖ノリの色落ち問題について、その後
① 6月8日付山陽新聞で「ノリ80年度以降最低」との記事が掲載されました。岡山県が、2013年度の養殖ノリの生産量と販売額をまとめたものを発表したものです。記事によりますと、「養殖ノリは黒く色づかない『色落ち』被害が拡大し、記録が残る1980年度以降で生産量、販売額とも最低」とあります。
原因は、昨年夏の猛暑などで植物性プランクトンが大量発生し、ノリの色素合成に必要となる海中の栄養塩が減少したことがあげられています。そのため吉井川水系では、栄養塩を増やす狙いで苫田ダムの緊急放流を今年1月7日から11日にかけて実施したとのことです。
私は、本年2月定例会で、高梁川河口域周辺の養殖ノリの色落ち対策として、高梁川水系のダムの緊急放流ができないものかお願いしました。当時の工藤文化産業局長の答弁は「本市ではこれまでも。地元のノリ生産者と連携し、岡山県にダム放流を要望してきた。地元からの要望を踏まえ、引き続き県に働きかける」とのものでした。
昨年度が生産量、販売額とも最低となったことも踏まえ、今からその対策を強めていってもらいたい。県への働きかけのその後と今後の対策についてお尋ねします。
② 倉敷、下津井の美味しいノリを守るためには待ったなしのところにきています。しっかりやってもらいたい、本腰を入れての対策を求めて質問を終わります。(要望)
> 効果・便益の下がる
倉敷駅付近を除くと不便になりますね。
投稿情報: 七誌 | 2014年6 月18日 (水) 11:16