Ⅶ.環境問題及び地球温暖化防止対策について
1.クールくらしきアクションプランについて
市内全域から排出される温室効果ガスを総合的・計画的に削減するため、2011年2月にクールくらしきアクションプラン―倉敷市地球温暖化対策実行計画(区域施策編)を策定し、2020年度に、2007年度比で12%の温室効果ガスを減らすという中期目標を立てて取り組みを進めていると聞いている。一方、国は、一昨年のCOP17では、京都議定書の延長に不参加を決め、昨年ドーハで開かれたCOP18では、2013年に開始する京都議定書第2約束期間に不参加を表明するというありさま。温暖化防止の国際的取り組みに背を向ける情けない態度をとり、世界の環境保護団体から激しい非難の声を浴びている。
こうした中、倉敷市においても、実効ある温室効果ガス削減の取り組みが求められている。削減のポイントは、何よりも温室効果ガスの発生源を断つということが基本となる。倉敷市の温室効果ガス排出状況は、産業部門が市全体の約81%、産業部門の9割以上が水島コンビナートであり、家庭部門は2%となっている。これが倉敷市の排出状況の特徴である。
削減目標を達成するには産業部門の排出削減が鍵となる。倉敷市地球温暖化対策協議会第2回会議の資料によると、「大規模事業者―製造業の排出量上位20社の排出量は市全体の約8割を占めているため、市の排出量の増減は大規模事業所の排出傾向に大きく影響を受ける」とある。私は、水島コンビナート企業は、倉敷の産業を支える大きな役割を担っていると考えている。であるからこそ、この環境問題に対しても、その役割に応じた責任をしっかり果たしてもらわなければならない。
プランの進捗状況、いかにして排出削減を進めるのか、当局の考えを問う。
▼環境リサイクル局長(物部健二) 市内全域の温室効果ガス削減計画であるクールくらしきアクションプランは2010年度に策定し、2007年度を基準年として、2020年度に温室効果ガス排出量を12%削減するという中期目標を立て、市民、事業者、行政がそれぞれ連携して取り組みを進めている。
本市の温室効果ガスの排出状況は、国内有数のコンビナートを有しているため、産業部門からの排出量が、日本全体では36%であるのに対し、本市では約80%を占めているという特徴がある。本市の温室効果ガス排出状況は、基準年である2007年度の3,957万トンに対し、暫定値ではあるが、2009年度は基準年に対して15.5%減少の3,342万トン。しかし2010年度は、基準年度からは8%減少したものの、前年度比では9%の増加となっている。これは景気の変動の影響や島根原発停止に伴う火力発電の増加によることなどが原因と考えられる。
国は、京都議定書の約束期間が2012年で終了したため、2013年以降の温暖化対策について今後検討していく予定であり、また産業部門においては、環境自主行動計画に引き続く低炭素社会実行計画を策定し、温暖化対策に取り組むこととしている。
本市においても、アクションプランの重点施策である資源エネルギーの高度利用の推進などによる環境調和型コンビナートの形成を目指し、削減への取り組みを推進していく。今後、国の温暖化対策の方向性を注視していく必要があるが、本市としては産業部門の排出削減とあわせて、近年温室効果ガスの排出量が増加している家庭部門や中小企業に対し、啓発や支援を行うことにより積極的に温暖化対策を進めてまいりたい。
2.地球温暖化防止条例の制定を求めて
実効ある温室効果ガスの削減を進めていくには、地方自治体として、事業者の削減目標を条例で定め規制することが求められている。日本経団連の環境自主行動計画任せでは、倉敷市の削減目標を達成することは困難である。条例制定は、地球温暖化防止対策に取り組む倉敷市の姿勢、決意のあらわれを示すものとなる。条例制定を求めるが、当局の見解を問う。
▼環境リサイクル局長(物部健二) 本市全域の温室効果ガス削減計画であるクールくらしきアクションプランを進めるに当たり、市民団体、事業者、学識経験者等で構成する倉敷市地球温暖化対策協議会を設置し、温室効果ガスの排出状況、施策の進捗状況に関して議論し、市民、事業者、行政がそれぞれ連携しながら、削減目標達成のために行動している。
本市において排出量が多い産業部門に対しては、水島コンビナート等の企業と環境保全協定を締結しており、施設の新設や改修等の協議の中で温室効果ガスの低減に努めるように指導している。また、エネルギーの使用の合理化に関する法律や地球温暖化対策の推進に関する法律に基づき、事業者は、エネルギー消費原単位の低減、温室効果ガスの排出抑制が義務づけられている。本市としては、実行計画に基づく取り組みを推進する中で、国全体のエネルギー政策や地球温暖化対策の方向性を注視してまいりたい。
3.PM2.5問題について
2月21日に国立環境研究所が、西日本で広域的に高濃度のPM2.5が観測されたことや、長崎県福江島でも高濃度の微小粒子状物質が観測されたことから、本年1月から2月初めのPM2.5の高濃度現象には、大陸からの越境大気汚染による影響があったものと考えられると発表した。
我が国では2009年9月に環境基準値が設定され、現在、大気汚染防止法に基づき、地方公共団体によって全国500カ所以上でPM2.5の常時監視が実施されている。しかし、国内での観測が本格的に始まったのは2011年度のため、自国発生分と飛来分との割合を把握できていないと言われている。いずれにしても、倉敷市においても今回環境基準値を超える日が発生しているので、原因の究明と対策を立てなければならないと考える。
▼環境リサイクル局長(物部健二) 中国でのPM2.5の高濃度汚染が問題となっているが、環境省は環境基準を超過した場合でも、直ちに人の健康に影響があらわれるものではないが、何らかの健康被害が生じる可能性は否定できないとしている。本市としても、市民の方々への情報発信について早急に対応する必要があると考えている。
本市のPM2.5の監視体制については、自動測定器を平成23年度から平成25年度までの3年間で10局設置する計画で、平成23年度には倉敷美和、松江、大高で常時監視を開始した。測定結果については、現在、環境監視センターのホームページで前日の平均値を公表しているが、3月からは本年度設置した塩生、児島、玉島の3局を加え、環境監視センターのホームページでリアルタイムに公表していく。また、来年度は新たに4局の設置を予定している。
今後の対応策については、昨日環境省から公表された暫定指針をもとに、国、県と連携をとりながら、効果的な対応策を実施していくとともに、工場等への発生減指導も行っていく。
> しかし、国内での観測が本格的に始まったのは2011年度のため、自国発生分と飛来分との割合を把握できていないと言われている。
日本の大企業が海外に進出しています。
海外で、特に、中国で、「PM2.5問題」の発生源となっていないのでしょうか。
投稿情報: 七誌 | 2013年4 月 1日 (月) 02:11