9月18日、本会議一般質問に立ちました。今議会から一問一答方式の質問も出来ることになりました。
このところ、ブログの調子がおかしく、写真などファイルがアップロードできません。少し長くなりますが、質問原稿を紹介します。
2013年9月議会 末田正彦一般質問原稿(9月18日)
1.子ども・子育て支援新制度から危惧する点
昨年8月に自公民の3党合意で、現行の保育制度を改悪する「子ども・子育て支援」関連法が、強行成立させられた。現在、「子ども・子育て会議」で制度を具体化する議論が進められている。
「子ども・子育て会議」の中で、児童福祉法24条1項「保育を必要とする場合、市町村が保育所において保育しなければならない」としている市町村の保育実施責任を投げ捨てようとする中身があらわになってきた。
子どもの権利条約第3条第1項では「子どもの最善の利益が第一義的に考慮される」とあり、保育所保育指針の中には「保育所における保育は、ここに入所する乳幼児の最善の利益を考慮し、その福祉を積極的に増進することに最もふさわしいものでなければならない」とある。
私ども日本共産党はこうした点からも、この新制度には多くの問題があり、導入には反対である。しかし、導入にされるにあたっては、現行の施策水準のあらゆる面での後退を許さず向上を目指し、児童福祉法24条1項を基礎に、新制度を改善させるために奮闘する決意である。
(1)施設型給付の保育の必要量認定について
子どもの発達を考えて、一日の流れの中で集団での生活を通じ、遊びや散歩、給食を組み立てるのが保育であり、現在は、保育時間8時間が原則となっている。しかし、新制度では親の就労時間に応じ保育時間を決めるとある。保育時間に長時間、短時間の区分を持ち込むことになり、親がパートなら、現在は保障されている一日中の保育が保障されなくなる。パートで生計を立てている母子家庭などの子どもは、保育を細切れにしか受けられず、発達を保障されないことになり、貧困の連鎖を助長するものになる。子どもの側の状況も認定の基礎にするべきである。そのためにも保育時間として8時間原則を堅持すべきで、親の就労状態だけで決めるべきではないと考えるが、当局の見解を問う。
私は「子どもの最善の利益が第一」という観点から、そして、子どもの健やかな育ちのため、なによりも子どもの命、人間的発達を保障する保育が重要だと考えている。そういう観点で保育に取り組んでもらいたい。「保育標準時間」「保育短時間」という区分わけを行なうなどと言うことは考えられない。
(2)地域型保育給付、小規模保育所など地域型保育の基準の問題について
新たに国の財政支援の対象となる小規模保育所の基準として、「保育士資格をもつ職員は半数で可」とする案が出されている。全員が保育士資格を必要とする現在の認可制度に、緩い基準を持ち込み、子どもの育つ環境の格差を容認する中身となる。多くの無認可保育所が小規模保育所へ移行すると思われており、条例化にあたっては、認可保育所の基準を基本とすべきと考えるがどうか。
待機児童対策は、規制緩和前提の小規模等での対応ではなく、認可保育所の新設・増設で図るべきである
2.議案第85号平成25年度倉敷市一般会計補正予算(第3号)について
(1)公立保育所調理業務委託事業費について
9月3日に議案が配布され驚いたのだが、来年度から公立保育所の中で定員150人以上の保育所の中から3園選定して、給食の調理業務を民間に委託する提案がだされた。
保育所における食事の意義とは何か。「保育所保育指針」の中で食育の推進が掲げられ、解説書の中で、次のように書かれている。
「乳幼児期における望ましい食習慣の定着及び食を通じた人間性の形成・家族関係づくりによる心身の健全育成を図るため、保育所では食に関する取組を積極的に進めていくことが求められている。「食育基本法」(平成17年法律第63号)を踏まえ、「保育所における食育に関する指針」(平成16年3月29日雇児発第03290015号)を参考に、保育の内容の一環として食育を位置付けます。そして、施設長の責任のもと、保育士、調理員、栄養士、看護師などの全職員が協力し、各保育所の創意工夫のもとに食育を推進していくことが求められます。」
保育の内容の一環として重要な位置づけがなされている。
①議案提案のあり方について
「保育所保育指針」の中で重要な保育内容の一環として位置づけられている「食」に関わる事業の変更問題を、こともあろうに議会に全くの相談もなく、いきなり唐突に議案として提案するなど議会軽視もはなはだしい。
さらに221,613千円と細かな数字をだしているにもかかわらず、委託契約の仕様書さえまだ出来ていないと言う。これでどうやって審議しろと言うのか。そして、やっとでてきたのは、一片のペーパー1枚。さらに行財政改革プラン2011にさえも示されていない。当局のこの姿勢は異常であり、先ずは撤回すべきである。
②保育所保育の基本的な認識
保育所保育は、本来、保育士、調理員、栄養士、看護師、用務員等による「チーム保育」である(「保育所における食事の提供ガイドライン」より)。その点についてどうか。
③給食業務とは
給食業務とは献立作成、食材購入、調理という一連の流れで構成される業務と理解しているが、どうか。
④最善の方法をなぜ採用しないのか
献立作成、食材購入、調理という一連の流れで構成される業務を円滑に進めるためにも、あなたたちが業務委託のよりどころとしているH10.2.18児発第86号厚生省児童家庭局長通知の中でも「調理業務について保育所が責任をもって行えるよう施設の職員により行われることが原則であり、望ましいこと」と言わざるを得ない。自園での直営方式の給食調理では何故いけないのか。望ましいことを何故追求しないのか。
⑤外部委託、外部搬入について、厚生労働省が行なったH24.3保育所における食事の提供ガイドラインのアンケート結果より、結果についての見解は。
外部委託、外部搬入を実施しない理由として、
・給食は保育所保育の大きな部分でもあり、そこを業者に任せることは、子どもを総合的に捉えにくいから
・調理職員も保育・子育て・地域貢献に携わる人材と考えており、園の全ての活動に連動し、切り離して考えられないため
・離乳食、アレルギー対応食、発達段階に応じた食の提供などの個別対応ができないから
厚労省のアンケートでも、こうした外部委託への懸念がだされている。
⑥外部委託の実態
平成24年7月から調理業務を外部委託した京都府大山崎町では、多くの問題が起きたことが報告されている。「業者が入れ替わった途端にいろいろなトラブルが発生した。オーブンレンジの使い方に慣れない業者の焼き物の献立では、生焼け状態が続き、子どもに提供できない日が続いたり、ごまアレルギーの子どもにごま油の揚げ物を食べさせて発疹が出たりと毎日のように混乱が続いた」と聞いている。
本年4月から小中学校の3調理場を民間委託した富山市がその実施状況を検証している。児童・生徒・教職員に対してアンケート調査を行い興味深い結果が出ている。その中から給食の完成度の中で食感(質、味付け、大きさ、温度)について、直営校との比較をしている。小学校児童へのアンケート結果は、全ての項目で直営校の方が圧倒的に評価が高い。
⑦保育所現場の声は聞いたのか
保育所保育の重要な変更を考えているのであれば、当然に現場の声を聞き、しっかり議論することが必要。現場の声は聞いたのか。
私は、9/6、9/9に定員150人以上の10園に連絡をとり、園長又は主任に確認した。誰も「何も聞いていない」との返事。聞こえてくるのは、直営での自園調理方式の堅持。
⑧労働法制上の問題点について
労働法制上の偽装請負、違法派遣の危険がつきまとうが、どう考えているのか。
献立作成、食材購入、調理という一連の流れで構成される給食業務について、調理業務のみを委託することは、職業安定法施行規則第4条1号の請負としての要件、受託業者が「作業の完成について事業主として財政上及び法律上のすべての責任を負うものであること」を満たしていない。それは当局が示している委託条件「献立の作成及び食材購入先の決定は、委託業務から除く」からみても明らかである。
さらに、職業安定法施行規則第4条4号後段では、受託業者が「企画、もしくは専門的技術や経験を必要とする作業であり、端に肉体的な労働を提供するものではない」と規定している。献立作成という「企画」は市の栄養士が行うとしていることから「企画」を行っていないのは明らかで、請負としての要件を満たしていない。
調理員は、給食検討委員会への参加や、園児の状態や保育園の行事や取り組みに応じて、園児の顔を見ながら、保育士と一緒になって行う保育の一端を担っている。保育士と調理員の連携なしに保育所の給食運営は不可能である。自治体職員による請負労働者に対する直接指示は認められていない。
また「現場に形式的に責任者を置いたとしても、その責任者が発注者の指示を個々の労働者に伝えるだけでは、発注者が指示をしているのと実態は同じ」と厚労省東京労働局のwebサイトで偽装請負の代表的パターンとして例示されている。
これらのことから、給食調理だけの委託というのは請負に該当せず、偽装請負であり違法派遣に他ならない。どうか。
⑨市長の見解は
偽装請負を回避するため多くの手間をかけたとしても、実際の保育所では、保育士と調理員がしっかり連携をとって給食運営を行なおうとすればするほど、偽装請負、違法派遣になる危険性が高い。
また、調理業務で事故が起きた場合、自治体が、保育園給食に全面的な責任を負わない調理委託では、結果的に責任の所在が不明確ともなる。
この状況を招いているのは、給食調理員の採用がH12年度を最後に途絶えていることであり、結果としてそのしわ寄せが保育所保育に押し付けられ、「入所する乳幼児の最善の利益を考慮し、最もふさわしいものでなければならない」とする理念が損なわれていることが重大である。
本当に子育てのことを真剣に考えているのであれば、「調理業務について施設の職員により行われることが原則であり、望ましいこと」の原点に立ち返り、必要なところには必要な人員を配置すること、そして調理業務の民間委託を撤回すべきでは、市長に見解を問う。
3.障がい児の通学支援を求めて
児島にお住まいの視覚障がいを持つ3歳のお子さんのお母さんから、次のような相談が寄せられた。「あと3年経つと小学生になります。県立岡山盲学校の小学部に入学することになるでしょうが、一年生から寄宿舎生活をさすには不安です。岡山駅からはスクールバスが出ているので、そこまでの通学支援の制度は出来ないでしょうか」との相談。先日改めてお聞きすると、このお子さん、秋には全く光を失うことになるとのこと。
障がいのある幼児児童生徒の自立や社会参加に向けた主体的な取組を支援するという視点に立ち、幼児児童生徒一人一人の教育的ニーズを把握し、その持てる力を高め、生活や学習上の困難を改善又は克服するため、適切な指導及び必要な支援を行うことが、特別支援教育である。そのために、通学に対する支援は必要不可欠である。
現在行われている移動支援事業は、通年とか長期にわたる外出、通学等は対象になっていない。しかし、広島市、枚方市、東京都台東区などいくつかの自治体で、障がい児の通学支援事業が始まっている。
また、平成23年10月から、国が移動支援事業のうちの重度視覚障がい者に対する個別支援を「同行援護」として創設し、特段の処置を実施している。
視覚に障がいを持つお子さんは、学校選択も県立岡山盲学校しかないという状況の中で、遠距離通学になり、特段の措置を考えるべきではないか。先ず、視覚障がい児の通学支援事業から始めてみてはどうか。
寄宿舎生活しかない、と言うのではなく、行政としては複数の選択肢を準備しておくべきだと考える。前向きに検討されたい。
4.倉敷市立児島市民病院について
この8月に倉敷市立児島市民病院建設構想が発表され、建て替えがいよいよ現実となり、平成29年度中の新病院開院に向けてスタートが切られた。そこで、建設構想の中から気になる点について3点お聞きしたい。
(1)防災対策について:津波に対する備え
児島沿岸部は平成16年の台風16号においても、TP+3.0mの高潮を経験している。また南海トラフ地震で想定される津波は、平均津波高TP+2.8m、最大津波高TP+3.2mと示されている。倉敷市都市計画図の記載によると現市民病院の敷地の地盤高はTP+3.1m、その周辺の地盤高はTP+2.7m~3.2mである。地盤の嵩上げは計画されていないようだが、基本設計にあたっては、慎重な検討をお願いしたい。
(2)経営形態について
地方公営企業法全部適用への経営形態の移行を考えているようだが、その先に地方独立行政法人化、指定管理者制度の導入を前提にしてのものならば、市民にとっては非常に迷惑である。
地方独立行政法人、指定管理者制度と進むにつれ、経済性を重視した経営形態となり、自治体病院に求められている公的責任より採算を最優先させることになる恐れがある。また、議会の関与・チェックを後退させ、「公共性の見地から確実に実施」されなければならない業務にもかかわらず、議会の関与が大きく後退することに なり「団体自治」を旨とする「地方自治の本旨」を歪めることになる。
児島市民病院を守ろうと立ちあがった市民の思いは、市民病院としての存続・発展である。
(3)再生可能エネルギーの活用について
①「倉敷市地球温暖化対策実行計画、クールくらしきアクションプラン」の中では、「日照条件に恵まれた本市の特性を活かして、公共施設・住宅・工場・事業所・大規模集客施設等あらゆる場所での太陽光発電システム・太陽熱温水器等の導入を促進し、全国有数の太陽エネルギー利用都市を目指す」とあり、「公共施設への太陽光発電システムの設置推進」を謳っている。建替えにあたっては、病院屋上に太陽光発電パネルの設置を行ない再生可能エネルギーの普及に努めることを求めるがどうか。
②地球温暖化対策を所管している環境リサイクル局の見解をお聞きする。
5.「わが家の津波ハザードマップ」から
この8月、南海トラフ巨大地震を想定した「わが家の津波ハザードマップ」が作成、市民に配布された。
このハザードマップを見た児島唐琴地域の方から、質問が寄せられた。「児島唐琴地域は他の地域のように、避難方向に津波避難場所となる建物がない。先ずは高いところに避難することは理解しているが、その後のことはどうなるのか。この地域の避難計画、避難場所について、市としてどう考えているのか」と言うもの。市として現在の見解を示されたい。
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