一問一答方式での質問が始まって2回目の倉敷市議会です。時間配分が難しいですね。
今回は、まず改悪された生活保護制度の申請問題です。
「これまでの運用通り」書類の添付問題も含め、これまで以上の負担をかけることのないことを確認しました。
子ども・子育て支援新制度にかこつけて、「公立幼稚園・保育園の適性配置計画」という名の下に幼稚園、保育園の統廃合計画が出されています。大きな問題です。
これからの運動が大事です。
質問原稿は、次の通りです。
2013年12月市議会 末田正彦質問原稿 2013.12.11
1.市長の政治姿勢について-社会保障制度「改革」について認識を問う
政府与党が進める社会保障制度改悪について質問します。
12月5日に参議院で「持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律」いわゆるプログラム法案が可決・成立しました。これは社会保障制度改革について、その全体像及び進め方を明らかにしたものとされています。しかし、その全体を貫く思想は、およそ改革と言う名に値するものではありません。
第一は、社会保障制度改革の基本を、「住民相互の助け合い…、自助・自立のための環境整備」としたことにあり、憲法25条に基づく人権としての社会保障という考えを根本から投げ捨て、国民を無理やり「自助」に追い込む。
第二には、医療・介護・年金など社会保障の全分野にわたり、給付の削減と負担の増大を国民に求めるものになっていることです。
医療では、70~74歳の窓口負担を1割から2割に引き上げる。入院給食費の原則自己負担化。国民健康保険事業の都道府県化によって国保料の値上げを迫る。
介護保険では、利用料の2割負担への引き上げ。要支援者の保険給付はずし。介護度の低い人の特別養護老人ホームからの追い出しや利用料の値上げ。
年金では、今年度から3年間かけて実施される約1兆円の支給削減につづき、支給開始年齢の先送り、年金課税強化の検討。
子育てでは、子ども・子育て支援新制度が保育現場に深刻な影響を与える。
こうした一連の改悪で、国民には約3兆円もの負担と給付の削減が押し付けられます。その上、さらに消費税8%への増税です。
この「改革」と言う名の改悪は到底許されるものでなく、憲法25条に基づく人権としての社会保障の充実を図ることこそが必要です。
こうした一連の社会保障制度の大改悪、国民への負担増・給付減について、市民福祉向上の先頭に立つべき市長として、どのような認識をお持ちか。福祉を守る決意を聞かせてもらいたい。
2.保健福祉行政について
(1)生活保護制度について
ア.扶養照会文書等について
生活保護申請における扶養照会文書等の法に触れる文章の是正問題について質問します。
倉敷市では、「扶養義務の履行についての照会書」「生活保護の案内」のしおりの中に、あたかも扶養義務が生活保護を受けるための要件であるかのような表現があります。国会でのわが党の追及により、厚生労働省は11月8日付けでこの文章の是正を求める通知を各自治体に出しました。私ども市議団も当局に是正を求め、改善したとのことですが改めてお尋ねします。
また、扶養義務者に送られている「扶養届書」には、扶養義務者の資産やローンなどの生活実態を書かせる項目があり、給与証明書やローン返済予定表の添付まで求めています。扶養義務者の援助が生活保護受給の前提ではないとの考えからすれば、明らかに行き過ぎたものではありませんか。是正されたのですか。
(再質問1)
準則は個人に強制されるべきものではありません。さらに言うと、この「届書」には扶養義務者の家族についての状況も記載することを求めています。直ちに改善を求めます。法律上の扶養義務者は、直系親族、兄弟姉妹です。兄弟姉妹の子ども、甥・姪について調査することは問題ではありませんか。
イ.生活保護法改悪について
憲法25条の生存権を空洞化する生活保護法改悪案が12月6日の衆議院本会議で、自民、公明、民主、維新、みんな、生活の各党の賛成多数で可決、成立しました。わが党は、申請にあたっての書類提出の義務付け、親族の扶養義務強化など保護申請を締め出す違法な「水際作戦」を合法化するものだと指摘し反対しました。
「改正」法の下で、申請書類の提出義務付けや扶養義務の強化は、困窮する要保護者に対して制度の利用を一層困難にし、国民を制度から締め出し、さらなる貧困を生みだすものとなりはしませんか。
この運用について、11月7日の参議院厚生労働委員会で厚生労働大臣は、「申請事項や申請時の様式も含め、現行の取扱いを変えるものではない」と答弁していますが、倉敷市においては、申請時においてどのような取り扱いを行なうつもりですか。
(2)介護保険制度について
11月27日、介護保険「改定」について、厚生労働省社会保障審議会介護保険部会が、意見書の取りまとめ案を示しました。安倍内閣は改悪法案を来年の通常国会に提出し、平成27年度実施を目指す構えです。
改悪法案の骨格となるこの意見書案には、介護保険の従来のあり方を大きく塗り替える項目が次々と書き込まれています。国の責任を後退させ、利用者、家族、介護労働者に重い負担と痛みを強いるものになっていおり、高齢者が増加し、公的介護の役割がますます重要になるとき、改悪は完全な逆行です。必要な介護から締め出され、行き場を失う高齢者を激増させることは許されません。
そこで、主要な4つの見直し項目について市としての見解、対応をお尋ねします。
①まず、「要支援1、2」の方が利用する訪問介護と通所介護の保険給付からの排除の問題です。倉敷市においては要支援サービスの約5割を占めている訪問介護(ヘルパー)、通所介護(デイサービス)を国基準の介護保険給付から全面的に切り離し、市事業の地域支援事業に移行するものです。保険料を払っているにもかかわらず、これまで受けていた国基準のサービスが受けられなくなります。
②次に、特別養護老人ホーム入所者を原則「要介護3以上」にすることです。現在「要介護1、2」の方を施設から締め出すことになる、さらに自宅介護をしながら、切羽詰まった思いで入所を待つ人たちの願いに背くことになります。
③次に、一定所得以上の高齢者の利用料を1割から2割へ引上げる問題です。対象は65歳以上の5人に1人にもなる案が出されています。1割負担でも経済的理由からサービスをあきらめている人が相次いでいる現在、所得に応じて保険料を払っている高齢者にまで“利用料の応能負担”を迫ることは、制度の根幹にかかわる大問題ではありませんか。
④次に、特養ホーム等の低所得者に食費・居住費を軽減する「補足給付」の縮小です。「収入がなくても家や貯金などの資産があれば、軽減しない」というものですが、費用の削減ありきではありませんか。
以上4つの主な見直し点について、市としての見解、対応をお尋ねします。
(再質問1)
「要支援1、2」の方が利用する訪問介護と通所介護の地域支援事業への移行については、事業費が大きな問題となります。地域支援事業の事業費は、介護保険事業会計の3%が上限とされており、倉敷市では平成24年度決算でみると、7億4550万円と総事業費の2.2%になっています。上限の3%までと考えても約10億円です。
一方、訪問介護と通所介護の給付実績は、11億3600万円です。国の審議会意見書では、「上限を超える場合については、個別に判断する仕組みについても検討する」とありますが、事業費の枠の拡大がなければ、結局のところ、国基準のサービスが受けられなくなるということになります。市としてしっかり予算化を考えてもらいたい、どうですか。
(3)保育所給食外部委託問題について
9月議会に公立保育所3園の給食調理業務を来年4月から外部委託にすることが突如持ち出されました。わが市議団は、給食調理の外部委託は保育所保育になじまない、子どもの最善の利益が守られないと指摘し、実施しないことを求めました。
しかし、極めて乱暴にこの事業化を決定しました。当局には、「保育における食とはどういう位置づけにあるのか」という基本的な認識が欠如しているのではないか、と思わざるをえませんでした。
私は、11月30日から翌日にかけて開催された第28回全国保育所給食セミナーに参加しました。保育士、栄養士、調理員など1,100人を超える方々が全国から集まり、保育所における給食のあり方について、豊かな実践報告がなされ経験が交流されました。とりわけ、3.11東日本大震災、福島第一原発事故で放射能汚染に見舞われた福島市の保育園の報告は参加者の心をうつものでした。「“放射能だからできない”では前に進めない。私たちが子どもたちに出来ることは、放射能測定をした上での安心・安全な給食の提供。そして、沢山の食材に触れさせ、五感で感じ、沢山の経験をさせてあげること。制限がある中でも食育の充実を図っていきたい」と語り、「子どもを真ん中にして、職員集団、保護者とで手と手を取り合って共に歩んでいきたい」と締めくくられました。食を中心とした豊かな保育があることを感じました。基礎講座の講演では、長瀬美子大阪大谷大学教授が、「保育所の食は、単なる『エネルギー補給』『栄養補給』ではない」「食は保育そのもの」と強調されました。
今回の給食調理業務の民間への外部委託を考えてみると「保育所における食は保育そのもの」の理念に真っ向から反するものと思えてなりません。業務請負で保育の質が保たれるとは思えません。
そこで、先日実施予定園3園で開かれた保護者説明会の中から、保護者の声を紹介し質問します。率直な意見が出されています。
・「何故、正規職員の調理員を採用しないのか。採用すれば、民間委託を実施しなくてもすむのではないか」
・「平成13年度に調理員の採用を停止したのであれば、その時点で判っていたことではないのか。もっと早く保護者に知らせてくれても良かったのではないか」
・「市の保育園なのに事前に保護者に説明が無いのはおかしい。今日の説明会は、決まったことの報告であり、反対しても何も変わらない。納得がいかない」
・「直営の調理員は、食物アレルギー対応を良くしてくれた。民間だから悪いとは言わないが、業者は変わることがあるし、業者に務める職員も変わることが多い。待遇も下がることが予想される。保育園の一員として頑張ってくれるか不安である」
もっともな保護者の声です。当局には説明責任の瑕疵があるのではないですか。また、「保育園の一員として頑張ってくれるか不安」大事な指摘です。どのような取り組みで応えていきますか。
3.子ども・子育て支援新制度に関連して
(1)子ども・子育て支援事業計画策定と公立幼稚園・公立保育所の適正配置計画
平成27年4月に実施される子ども・子育て支援新制度の需給計画などを策定する事業計画が、来年夏にも概要が決まると聞いています。
現在、就学前児童の保護者を対象に「教育・保育・子育て支援の各事業の利用状況、利用希望」などを把握するためのニーズ調査が行われています。まずお尋ねしますが、事業の需給計画の策定は、このニーズ調査を基礎にして行う、と理解しているのですが、その理解で間違いありませんか。
(再質問1)
当局は、10月31日の保健福祉委員会で、平成27年度から31年度の5年間の「公立幼稚園・公立保育所の適正配置計画」を発表しました。しかし、この計画には、見過ごすことの出来ない内容が含まれています。
現在ニーズ調査が行われている最中であるにもかかわらず、幼稚園の廃止・統合・認定子ども園への移行、幼稚園と保育園を統合した上での認定子ども園への移行、保育園の統合など、公立幼稚園、保育園の統廃合計画が示されています。事業計画策定前の公立幼稚園・公立保育所の適正配置計画は問題です。統廃合先にありきの先走りではありませんか。
市の審議会でしっかり議論されるものと理解していいのですね。この「配置計画」は、今後、変更も当然ありうるとの理解でよろしいか。
(再質問2)中州幼稚園の認定子ども園への移行問題
個別の問題で質問します。平成27年度に大内保育園中洲分園を併設している中洲幼稚園を3歳児以上受入の認定子ども園へ移行するとしています。この中洲分園は2歳児を受け入れている保育園です。待機児童対策として認定子ども園へと移行するとのことですが、2歳児受け入れを停止することは待機児童対策に逆行することになるのではありませんか。
(再質問3)中州幼稚園の給食調理室問題
大内保育園中洲分園では2歳児保育が行われているにもかかわらず、給食調理室が設置されていません。2歳児保育を行う保育所は、給食は自園の給食調理室での調理が義務づけられています。しかしながら、当局は分園だから本園からの給食搬入は外部搬入にはあたらないと詭弁を弄し、設置を拒んできました。3歳児以上であれば、給食の外部搬入が可能となる規制緩和で食の安全が脅かされる改悪が行われてきました。
認定子ども園の受け入れを3歳児以上とした理由が、給食調理室設置を免れることを考えているとすれば大問題です。
私は、待機児童対策というのであれば、3歳未満児も受け入れ、給食調理室もきっちりと設置することが必要と考えます。倉敷市の保育の質を落としてはなりません。どうですか。
(再質問4)認定子ども園の受け入れ年齢と給食調理室問題
幼保連携型認定子ども園は3歳未満児の受け入れを義務付けていません。倉敷地区は幼稚園を順次認定子ども園へ移行していく考えのようですが、受け入れ年齢と給食の在り方が問われてきます。どう考えているのですか。
(2)子ども・子育て支援新制度について
子ども・子育て支援新制度について危惧する点について質問します。
ア.児童福祉法24条1項と2項
まず、児童福祉法24条1項に定められた市町村の保育実施責任による保育所保育と、2項に定められたその他の施設と保護者との直接契約制度が併存する問題です。市町村の保育実施責任は保育所保育には残すことが出来ましたが、保育所以外の施設については曖昧なものになっています。保育を必要とするすべての子ども達に格差のない保育が提供されるよう、保育所保育と同様の保育水準の確保は当然と考えますが、当局の見解を問います。
イ.保育必要量の認定
次に保育の必要量の認定問題についてお尋ねします。認定によって保育時間に上限が設定され子どもにとって必要な保育が受けられなくなることが危惧されています。親の就労時間によって短時間と長時間(保育標準時間)の保育時間を設定する案が出され、現行制度の「1日の保育保障」から新制度の「親の就労時間に応じた保育」へと変更になるわけです。
私は、保育時間に区分を設けるのは問題ありと考えます。少なくとも子どもの生活・発達保障という視点から見れば、保育短時間利用でも集団保育が成立するには最低でも8時間の保育時間が必要と言われています。
また、保育の認定区分から、保育の在り方が複線化します。1号認定は保育の必要性なしの3歳以上児、2号認定は保育の必要性ありの3歳以上児でさらに短時間と長時間、3号認定は保育の必要性ありの3歳未満児でさらに短時間と長時間となります。
3歳以上児では、3つのコースが混在するわけです。大変です。クラス編成などはどうなるのでしょうか。子どもたちが安心して学習。生活できる場になるのでしょうか。保育時間の異なる子どもたちが混在するわけですから、集団保育が成り立つのでしょうか、成り立たなければ生活リズムを壊し、保育のあり方を崩してしまいます。登降園もバラバラでは行事も困難になります。どう考えますか。
(再質問1)
子ども子育て会議では、「保育短時間利用を一日当たり8時間まで」との考えが示されているようですが、最低でも8時間以上の保育時間が必要と考えますが、市の考えは。
4.住民税の徴収のあり方について
(1)岡山県滞納整理推進機構と税徴収のあり方
ア.人権を無視した県滞納整理推進機構の税徴収のあり方についての認識は
「岡山県滞納整理推進機構」とは、「滞納整理を一層強力に進めるためとして、平成21年4月1日設置、市町村から個人住民税の徴収困難な事案等を引き継ぎ、滞納整理を推進する」とあります。さらに、機構の滞納整理の活動方針として、次のことを掲げていらっしゃる。それは、
1. 早期完結
2. 徹底的な財産調査
3. 迅速で厳格な滞納処分
4. 法令遵守
というものであります。はたして活動方針がちゃんと守られているのでしょうか。もちろん、税は納めなければならないことは基本です。しかし、この間の相談事例から、法令順守がされていない、人権を無視したような徴収の在り方が横行しているのではないかと思っています。
この問題は、決算特別委員会でも取り上げました。
相談が寄せられた個人事業主の事例です。整理推進機構職員の横暴な、そして人権を無視したような調査の在り方、さらに生存権を脅かす滞納処分の在り方です。それは、
①工事代金が銀行に振り込まれた直後に、全額差し押さえる。最低生活費すら残さずに差し押さえる。生存権の否定です。
②本人の妻が相談に機構に出向くが、「本人以外とは話をしない」と門前払いをするという官僚的な態度。
③「返納計画の参考のためにも、家の状況を見たい」と連絡があり、自宅を訪れいきなり物品の差押え。人権無視の行動。
こうした岡山県滞納整理推進機構の税徴収の在り方について、倉敷市はどう認識しているのか。私は、こうした人権無視、生存権を脅かす税徴収は絶対あってはならないと考えます。市はどう思いますか。
イ.税の徴収は自らの手で
私は、岡山県滞納整理推進機構が出来たとき、当時の市の税務部長に問いました。部長は「倉敷市は機構への引継は考えていない。自前でしっかりやれる」と言われ、感心したことを覚えています。
困難な事案が多くあるとは思いますが、やはり税の徴収は本来市民に最も近い存在である市によって行なうべきであり、他の機関にゆだねるべきではないと考えます。
市として、困難はあっても郵送での通知だけではなく、必ず本人と会って納付の相談をする。求めておきます。
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