2月議会本会議一般質問に立ちました。質問項目は次の通りです。
1.保育について
2.漁業について―海苔の色落ちに問題
3.住宅リフォーム助成制度―地域経済の応援と長期に居住できる住宅のために
4.南海トラフ巨大地震による建物倒壊から命を守るために
中々いい答弁は得られませんが、持ち時間片道30分一杯使って質問しました。
最後に締めて終わって、時計が残り時間1分を示していました。
質問原稿全文は次の通りです。一問一答方式で原稿通りでない部分もあるのでご容赦を。
1.保育について
(1)子ども・子育て支援新制度について
来年4月実施に向けて、現在、倉敷市子ども・子育て支援審議会で審議が進められています。しかし当局は、昨年10月31日「公立幼稚園・公立保育園の適正配置計画」を発表し、来年4月から中洲幼稚園に大内保育園中州分園を統合し、「幼保連携型認定こども園」として開園する方針を示しました。これは「認定こども園」先にありきの審議会軽視であり、わが党の田辺議員が代表質問で厳しく指摘したところです。
①‐1 公立幼稚園・公立保育園の適正配置計画について、あらためてお尋ねします。
この適正配置計画の中では、認定こども園の設置を含む公立幼稚園・保育園の統廃合計画が示されました。また、この計画は、認定子ども園への移行を誘導しているように思えてなりません。そして、認定子ども園への移行、公立保育園の統廃合は、市町村の保育実施義務の後退を意味するのではありませんか。
保育所については、児童福祉法第24条1項で「市町村は、…児童について保育を必要とする場合において、…当該児童を保育所において保育しなければならない」と市町村の保育実施義務を明確に定めています。しかし、保育所以外の施設・事業は、同条2項で規定され、1項の規定からは除外されています。
このように、児童福祉法第24条1項、2項では市町村の保育実施に対する責任が大きく異なってきます。市としてどのように受け止めているのか見解をお示しください。
①‐2 公立幼稚園・公立保育園の適正配置計画では、児島地区、玉島地区では保育所が認定子ども園に強制的に移行させられることになります。まだ、どの園かは発表されていません。
児島地区についていえば、「集団規模の適正化のため、小規模幼稚園と保育園を統合し、平成27年度以降順次、3園程度認定子ども園へ移行する」としています。倉敷市立幼稚園教育研究協議会答申「倉敷市立幼稚園の今後の在り方について」によれば、統廃合の基準に該当する園は、柳田幼稚園、上の町幼稚園、本荘幼稚園があげられています。仮にこの園が認定子ども園として統廃合されるのであれば、統合先は当然同学区内の保育園となるのでしょう。保護者にとっては身近なところで、市町村が保育実施義務を負う保育所を利用できなくなります。利用者は児童福祉法第24条1項の施設、保育所を求めて利用しています。説明責任が果たせられないのではありませんか、答弁を求めます。
さらに、本荘保育園は既に民営化されています。民間保育所は認定子ども園への移行を強制されるものではないと理解していますが、適正配置計画の中に盛り込まれているとなれば問題です、あわせて答弁を求めます。
①‐3‐1 待機児童数について確認しておきます。現在の待機児童数、未決定児童数を、3歳未満児、3歳以上児に分けてお示しください。
3歳未満 3歳以上
待機児童 ( 31) ( 7)
未決定児童 (357) (161)
※H25.10.1現在
①‐3‐2 認定子ども園への移行で待機児童対策を図るとしていますが、本当に待機児童は解消するのでしょうか。見込みはどうなのでしょうか。先ほどの答弁にあるように、待機児童、未決定児童は3歳未満に集中しています。認定子ども園で、3歳未満の枠を本当に拡大できるのか不透明ではありませんか。現に、平成27年度に認定子ども園として統合される中洲幼稚園、大内保育園中洲分園では3歳未満児の受け入れを中止します。待機児童は保育ニーズが充足されないために発生するのですから、いくら認定子ども園に移行しようがニーズが充足されなければ解決されません。ニーズに合った取り組みは、認可保育所の縮小ではなく、新設・増設での対応ではありませんか、あわせて答弁を求めます。
②‐1 子ども・子育て支援新制度についての2点目は、保育の必要性と必要量の認定について質問します。
子ども・子育て会議の中で、保育の必要量の認定問題も議論がすすみ、大枠が見えてきた段階だと思います。私は保護者の就労時間で保育時間に区分を設けることは、子どもの生活・発達保障という視点、また集団保育の保障などの点から問題あり、と度々指摘してきました。
現在、子ども・子育て会議では、「保育必要量は、それぞれの家庭の就労実態等に応じてその範囲の中で利用することが可能な最大限の枠として設定」との考えが出されていますが、具体的にはどうなのか、保育標準時間あるいは保育短時間はどのように設定するのか、お尋ねします。
(2)新規事業、保育コンシェルジュについて
① 子ども・子育て会議の議論の中で、「地域連携の部分は、高度のソーシャルワークであり、行政本来の役割では」との意見が出されており、倉敷市においては行政の一環として行うとの説明を受けています。しかし、その任に当たるのは非常勤嘱託職員での対応とのことです。権限のない者での対応では混乱が起きるのではありませんか。答弁を求めます。
私は、非正規嘱託職員さんの能力が劣っていると言っているのではありません。高度なソーシャルワークを担うには、相応の権限と報酬が約束されて当然です。市民にとって大切な相談業務は正規職員が自ら行ってこそ、市民のみなさんの生活に寄り添うことになるのではありませんか。これは他の部門、市民生活相談員さん達の働かされ方にも言えることです。あわせて、答弁を求めます。
(3)保育所定員の弾力化について
① 保育所定員の弾力化とは、待機児童解消のため、定員を超えて入所できるようにすることをいい、現在、その枠は拡大され、年度途中からおおむね25%の範囲にまで拡がりました。待機児童解消を認可保育所の新設・増設で対応するのではなく、詰め込みで対応してきたのがこの間の政府の姿勢でした。倉敷市もこの制度をとっています。
保育所定員の弾力化前提での待機児童対策は問題であり、認可保育所の新設・増設で待機児童ゼロを目指すことが基本です。
2.漁業について ― 海苔の色落ち問題について
下津井の養殖ノリ生産者の方から相談が寄せられました。「養殖ノリの色落ちの対策を立ててもらいたい」と言うものです。養殖ノリは、10月頃から種付け、育苗を開始し、12月から3月初めにかけて収穫・加工し、市場に出る。そして私たちの食卓にのぼり、ご飯の友になるわけです。
しかし、近年、色落ちがひどく、それにともない生産高も減少し、さらに、ノリの出荷単価も下がっている、生産者の方々は大変な苦労をされています。そのことが生産者の減少にも拍車をかけており、県内の生産者は30年前と比較すると現在は25%にまで落ち込んでいます。生産者の支援、そして、私たちの食文化を守るためにも行政の役割が求められます。
① ノリの色落ちは、海の栄養塩不足が大きな原因の一つだと言われています。議長のお許しを得て資料を配布させてもらっています、ご覧ください。パネルも作成してまいりました。これは、平成25年11月12日開催の環境省中央環境審議会、水環境部会、第3回瀬戸内海環境保全小委員会に岡山県担当者が用意した資料からです。このグラフは、横軸が経年、縦軸の棒グラフが海の栄養塩濃度、折れ線グラフがノリの生産額です。近年、ノリの色落ち限界値と言われる栄養塩濃度3μM(マイクロモーラー)を下回る年が続いています。それにともない生産額が減少していることが分かります。
こうしたノリ生産高の減少、ノリの色落ちの原因についてどのような見解をお持ちなのでしょうか、答弁を求めます。
② 生産者の方も良く研究されています。「栄養塩のデータも取り寄せ注意している。海の状況は確かに透明度も良くなり、きれいになっている。しかし、栄養塩不足で海自体に元気がなくなっている。ノリだけでなくワカメにも、そしてイカナゴなどの小魚も少なくなり、大きく影響している」と言われていました。この栄養塩不足を改善しなくてはなりません。そこで、市として、栄養塩不足の原因と対策についてどう考えているのかお示しください。
③ 私は高梁川の役割が大きいと思っています。「海は森が育てる」といいます。高梁川から運ばれる栄養分を含んだ水が海に流れ込み海を豊かにしています。同じ様に色落ちに悩まされている県東部地域では、平成17年度以降ほぼ毎年、吉井川の苫田ダムの緊急放流を行なっています。栄養塩濃度が増加し、ノリの色調が回復したことが確認されています。
高梁川ではどうなのでしょうか、高梁川の役割について、また緊急放流の可能性についてどう考えているのかお尋ねします。
3.住宅リフォーム助成制度
-地域経済の応援と長期に居住できる住宅のために-
住宅リフォーム助成制度は、地域の中小建設業者の運動やわが党の議会での取り組みを通じて全国の地方自治体に急速に広がり、全国建設労働組合総連合の調べによると昨年5月現在、6県、556の市区町村で実施されています。
この制度は、住宅のリフォームを行なった場合、地元の業者に依頼すれば、その費用の一部を自治体が助成することにより、住宅の改善を促進するとともに、中小零細業者の仕事づくりや地域経済の活性化にもつながる、というものです。
私たちは、この制度導入について繰り返し提案しましたが、「検討する」という答弁だけで、一向に実現が見えてきません。改めて、住宅リフォーム助成制度の実施を求めます。
①‐1 住宅リフォーム助成制度の地域経済への波及効果について、市はどう認識されているのか、まずお尋ねします。
①‐2 井原市では実施初年度、助成額4000万円で、工事高4億9000万円と12倍の経済波及効果が得られている。そうした実施市町村での経済波及効果はつかんでいるのですか。ぜひ、実施自治体での経済波及効果をつかんでほしい。
②‐1 次に国による「長期優良化リフォーム推進事業」の実施をうけて質問します。
国土交通省は「長期優良化リフォーム推進事業」を創設し、今年度の補正予算に20億円を盛り込みました。この事業は、住宅性能の向上のためのリフォームやメンテナンスによって長期間住めるようにする取組みに対して工事費用の3分の1(1戸当たり上限100万円)を補助するものです。2020年までに中古住宅 流通や住宅リフォーム市場を20兆円へと倍増することを目的に掲げています。
倉敷市としてこの国の事業実施についてどうとらえているのか、まず見解をお聞きしたいと思います。
これまで政府は、住宅リフォーム助成制度の創設を求める声に対して、「個人資産には税金はかけられない」と拒み続けてきましたが、今回の創設はその必要性・有用性を事実上認めたものにほかなりません。答弁を求めます。
②‐2 倉敷市も「住生活基本計画」において、「質の高い居住環境の形成-長期に居住できる住宅の普及」の取組みの中に「リフォーム促進のための情報提供及び支援の検討を行う」を掲げています。具体的に、どのような支援の検討をしているのでしょうか。私はリフォーム促進のためには政策的な誘導が必要だと思っています。先に述べた地域経済への支援という観点も含め、リフォーム助成制度が必要であり、実施を求めますがどうですか。
4.南海トラフ巨大地震による建物倒壊から命を守るために
この2月、倉敷市地域防災計画の見直しが行なわれました。その内容は、災害対策基本法の改正や国・県の防災計画の修正、南海トラフ巨大地震対策検討ワーキンググループの最終報告などを受け、主に南海トラフ巨大地震対策などを中心に、大規模広域的な災害に対する対策の強化等の修正を行ったもの、となっています。
そこで、これまでも何度か建物耐震化等の問題を取り上げてきましたが、あらためて地域防災計画の見直しに合わせて、お尋ねしたいと思います。
(1)住宅の耐震化促進について
①‐1 地域防災計画の中で、住宅の耐震化促進について次のように触れられています。「住宅の耐震化により、建物が倒壊し自力脱出が困難となる人を大幅に削減でき、また、建物の中への閉じ込めによる津波の被害者も軽減できる。更に、…建物が倒壊しないように耐震化を実施することによって、延焼拡大時の避難路の確保も可能となり、火災による死者数も軽減できる。加えて、建物被害が減ることにより、地震後も自宅にとどまることが可能となり、避難者数も軽減できる」と耐震化促進の意義が述べられています。住宅の耐震化は、死傷者を少なくするための第一義的な課題と言ってもいいでしょう。
倉敷市は、住宅の耐震化について耐震改修促進計画の中で、平成27年度末で耐震化率90%を目標として掲げています。しかし、遅々として進んでいないのではありませんか。その現状認識を問いたいと思います。耐震化率がなぜアップしないのか、アップしないのは何が足りないのか、達成は可能なのか、お尋ねします。
①‐1‐2 思い切った助成制度の拡充なくしてはすすまない、と指摘しておきます。
①‐2 住宅の部分的な改修の問題について質問します。
南海トラフ巨大地震対策検討ワーキンググループの「南海トラフ巨大地震対策について(最終報告)」(H25年5月)では、「建替え需要が発生しにくい高齢者等の住宅についての、部分的な耐震改修を促進するなどの取組を充実させる必要がある」、また「避難用シェルターや防災ベッド等の利用促進を図るとともに、部分的な耐震化による安全空間の確保、建築物の完全な倒壊を避ける対策の導入等を推進する必要がある」と提案されています。
私も度々、部分的な耐震改修、シェルター等の利用について提案し補助制度の創設なども求めてきました。しかし、今回、本市の地域防災計画の見直しには、何故かこうした部分的な耐震改修などが反映されていません。何故なのか、必要と感じていないのか、説明を求めます。
(2)家具等の固定、ガラスの飛散防止について
今回の地域防災計画の見直しで、初めて家具等の転倒・落下防止対策の強化が明確に打ち出されました。次のように記載されています。「家具等の転倒・落下防止対策実施率を 100パーセントにすることで、死傷者数は約30パーセントに軽減できる。更に、屋外に迅速に避難することも可能となるので、津波から避難するためにも、家具等の転倒・落下防止対策を行うことが重要である」とあります。私も、再々この場で、家具等の転倒・落下防止対策の推進に向けての提案をしてまいりました。
①‐1 現在、市として、家具等の転倒・落下防止対策についての実施状況の把握と、また、実施率向上促進のための手だてはどう考えているのかお尋ねします。
①‐2 私は、実施率向上のためには助成制度の創設と推進のための体制の整備が必要であると考えています。一昨年の11月議会で東京都品川区の先進的な取り組みを紹介しました。助成制度の創設と推進体制の整備を求めますが、どうですか。
(3)建物敷地の液状化対策について
倉敷市の液状化危険度分布図では、液状化危険度の高い場所は、農地の拡大や塩田の造成など、古くから多くの干拓や埋立事業がおこなわれてきた海岸付近に多く分布しており、さらにそこは宅地化が進み人口の密集地となっています。また、高梁川河口の水島コンビナート地区も液状化の危険度の高い区域になっています。
現在、「液状化被害の予防的対策として完全なものはない」と地域防災計画の中で触れられていますが、その液状化被害克服に向けては、長いスパンでの土地利用計画の見直しや都市計画の見直しなどが必要になってくるのではないでしょうか。今日はその点の指摘をするにとどめて、私も今後の研究課題にしたいと思っていますし、市としても具体的で実効ある対策の実現を目指して、しっかり取り組んでもらいたいと思います。
以上、最後に要望して質問を終わります。
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