Ⅳ.どの子にも行き届いた教育を求めて
1.いじめ問題について
日本共産党は、「いじめのない学校と社会を」の提言を発表し、子どもの命を守り、いじめ問題を解決していくには、社会が次の2つのことに正面から取り組み、事態を打開することを提案している。第1の柱は、緊急の取り組みとして、目の前のいじめから子供たちのかけがえのない命、心身を守り抜くこと。第2の柱は、抜本的な対策として、なぜいじめがここまで深刻になったかを考え、その要因をなくしていくことである。
第1の柱の具体化として5点。
①子どもの命最優先の原則の確立。
②ささいなことに見えても様子見せず、教職員と保護者で情報を共有して対応する。
③子どもの自主的活動の比重を高め、いじめの起きにくい人間関係をつくる。
④被害者の安全確保と加害者への対応。
⑤被害者や遺族の方の真相を知る権利の尊重。
第2の柱の具体化は、教育と社会を変えるとして3点。
①子どもの声に耳を傾け、子どもさまざまな社会参加を保障する。
②競争的な教育制度そのものからの脱却を急ぐ。
③いじめ社会に立ち向かい、人間的な連帯ある社会を目指す。
日本共産党倉敷市議会議員団は、この提言を持って、子どものことを学校、地域、社会の各分野で語り合い、いじめのない学校と社会をつくるための共同を広げることを呼びかけたい。
教育委員会として、市内学校におけるいじめの実態把握と、いじめ防止対策の取り組みを問う。
▼教育長(吉田雄平) 市内学校におけるいじめの認知件数は、平成24年9月に実施された全国調査の結果では、小・中学校で合わせて150件。その後の12月の追跡調査では、約94%のいじめが解消されている。いじめの対応としては、冷やかしや悪口、仲間外れ、無視等が大半を占めている。いじめの解消率は年々上昇しており、認知したいじめについては、徹底して解消を図るという意識が学校に浸透していると考えている。いじめは決して許されるものではないという決意を持って、いじめ防止といじめのない学校づくりに平素から取り組むことが大切と考えている。
倉敷市教育委員会では、いじめ防止の取り組みを一層充実させるために、いじめ防止の指導のためのリーフレットを作成し、新年度4月に全ての児童・生徒と保護者に配布し、活用を進めていくことにしている。また、指導の充実を図るため、全ての教職員に対して手引書も用意している。本リーフレットを活用することで、学校と家庭とが一体となって、いじめの早期発見、早期解決や未然防止の取り組みが一層図られるようにしたい。
2.体罰問題について
大阪の高校部活で、教員の暴力により生徒が自殺するという痛ましい事件が起こりいまだに教育の場で暴力、体罰が少なからずあることを示された。体罰や暴力を教育の場で行うことは絶対に許されない。倉敷市教育委員会は、市内学校における体罰の実態をどう把握しているのか、また、体罰の防止に向けてどのような取り組みを進めていくことが大切であると考えているのか。
▼教育長(吉田雄平) 本年度、市内学校において体罰と認められる事案は発生していないが、行き過ぎた指導に当たるのではないかと考えられる事案については、児童・生徒及び保護者に対する誠実な対応、そして再発防止の取り組みの徹底を指導してきた。
現在、国からの通知を受けて、改めて実態調査を行っている。この調査を通して体罰の実態を把握するとともに、教職員が、体罰は子どもの人格を無視した不適切な指導の方法であることを再確認する機会であるとも考えている。よりよい人格形成のために、学校教育が果たす役割には大きなものがあり、理不尽な暴力等による指導では、子どもの豊かな心や確かな力を育てていくことはできない。教育委員会として、研修や学校訪問における指導助言を通して、教職員一人一人が児童・生徒への指導のあり方について見詰め直し、日々の温かい人間関係や信頼関係を基調として、厳しさと優しさを兼ね備えた、心に訴える指導が展開されるよう努めてまいりたい。
3.正規教員の増員で少人数学級の推進を求める
学校教育充実のためには、正規教員をふやし、教員がしっかりと子どもに向き合って教えることのできる環境づくりが大切。しかし、安倍政権は、教育再生を掲げはしたが、文部科学省が、2013年度から5年間で小・中学校全学年の35人学級を目指すとしていた教職員定数改善計画を見送り、少人数教育に背を向けた。そこで学校教育充実ための本市の取り組みを問う。
①現在、小学校、中学校教員の正規、非正規の実態は。
②非常勤講師、放課後学習支援員の配置で学力向上を目指すとしているが、抜本的な対策と考えているのか。
③抜本的な対策は、県に対し、正規教員の増員で少人数学級の実現を求め、実施することだと考えるが。
▼教育長(吉田雄平) 本年度、倉敷市の教員全体数に占める正規教員と非正規教員の割合は、小学校においては正規94.3%、非正規5.7%、中学校においては正規90.6%、非正規9.4%になっている。教員の数につきましては、公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律をもとに、岡山県教育委員会の基準に基づいて配置されている。
正規教員をふやすことについては、倉敷市への新採用教員の配置をふやすように県へ要望するなどにより正規教員を確保するとともに、法改正により少人数学級を推進していくことが、学校教育の充実につながると考えている。現在、本市では市単独で非常勤講師や学習支援員を配置して、きめ細やかな指導を行い、学力向上に努めているところ。今後もさまざまな機会を通じて、正規教員の増員や法改正による少人数学級の実現を、岡山県教育委員会や国に引き続き要望していく。
4.全国学力・学習状況調査(全国一斉学力テスト)について
安倍政権になり、この4月、4年ぶりに全ての公立小・中学校対象とする全国一斉学力テストが行われる。35人学級を先延ばしにするなど教育条件整備を抑える一方で、教育に競争や序列化を持ち込むこのテストに、前年度比15億円増の54億円を盛り込んだ。日本共産党倉敷市議会議員団は、子どもと学校をテストの点数により序列化を進める。民間教育産業にプライバシーを含むデータの管理を委ねる。などの問題点を指摘し、このテストの中止を求めてきたが、改めて認識を問う。
昨年9月議会、斎藤議員への答弁で、市長は、「県平均から随分下回っている。大変憂慮している」教育長は、「憂慮すべきもので大いに反省をしている。来年度の目標については、まずは県平均の正答率を上回ることを目指す」と答えた。県平均より正答率が高ければ、学力がついたと判断するのか。
学力テストではかられる学力は、知識のごく一部でしかない。もっといろんなことを知りたい、できるようになりたいという意欲や、仲間と学び合う喜び、新たな疑問に挑戦する力は、どんなテストでもはかることはできないのではないか。子どもと学校をテストの点数により序列化し、教育の格差づくりを進める全国一斉学力テストには、不参加を求める。
▼教育長(吉田雄平) 倉敷市教育委員会では、教育重点施策の一つに確かな学力の向上を掲げており、国が行う調査を活用し、これまでの市としての取り組みの成果や課題を明らかにし、授業改善や指導の充実を図ることで学力を向上させていくことは、意義のあることと考えている。
児童・生徒一人一人の学力は、日々の授業や家庭学習を通して向上させていくことが大切であり、学力調査は、そうした学校の取り組みや児童・生徒の努力の成果を捉えるためのもので、調査のための学習となることは本末転倒と考えている。調査結果は、児童・生徒一人一人の学力の状況に合わせたきめ細やかな指導を進めていくために活用するものであり、点数による序列化につながることがないよう最大限の配慮をしてまいりたい。
個人情報等の機密保持については、遺漏等が決して起こらないよう、県を通じて強くお願いをしている。
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