Ⅴ.災害に強いまちづくりに向けて
1.地域防災計画の見直しについて
岡山県は2月15日、南海トラフでマグニチュード9クラスの巨大地震が発生した場合の各地の震度を示す震度階級分布図、液状化の危険度を示す液状化危険度分布図を作成し発表した。倉敷市は最大震度6強、広い範囲で震度6弱となり、液状化危険度が極めて高い地域は、水島コンビナート地帯を含め広範囲にわたっている。この両分布図についての見解と、分布図作成に当たっては、地震基盤の深さと凹凸を考慮した知見に基づいたものなのか問いたい。
今後の津波ハザードマップ作成に当たっては、地震による海岸保全施設の倒壊、津波が遡上する河川堤防の倒壊、その対策等も考慮に入れることが大切であり、必要であると考えるがどうか。
▼総務局長(橋本篤男) 今後、市町村ごとの分布図も作成されると聞いているので、これらを精査し、今後の防災・減災対策に生かしていきたい。
これら分布図の作成過程については、国が用いたデータに県が独自に収集したボーリングデータによる地質データなどを追加し、科学的知見に基づき作成されたものと聞いている。地震基盤の深さと凹凸を考慮した知見に基づくかどうかなどの詳細については、公表されていない。
県では、引き続き津波浸水予測図を発表する予定となっているが、この図は、国土交通省が示した津波浸水想定の手引に従い、その浸水域を示すとともに、耐震性の低い堤防、水門、樋門などの設備は機能を失うなどの条件を加味するとされている。今後、こうした津波浸水予測図等のデータをもとに、震度分布図、液状化危険度分布図も含めた津波ハザードマップの作成を行い、市民の皆様に配布したいと考えている。
本市の地域防災計画については、国で現在、南海トラフ巨大地震の被害想定の全体像をまとめているところであり、これを受けた国、県での防災計画の見直しを踏まえ、本市の地域防災計画を改定したい。
2.危険物の集積地コンビナートの防災について
岡山県石油コンビナート等防災計画見直しの進捗状況は。また、昨年行った水島コンビナート事業所への地震対策アンケート結果では、護岸や構造物、危険物タンク、防油堤などの耐震化、液状化対策、津波対策が遅れていると思われるが、その後の対策は進んでいるのか。
▼消防局長(片山龍三) 現在岡山県が、同計画見直しのために石油コンビナート防災アセスメント検討委員会を開催して、平常時や地震時、津波発生時の被害想定を検討している。この委員会には消防局からも委員として出席しており、現在までに2回開催されて、本年度中に被害想定をまとめる予定となっている。この検討委員会に並行して、岡山県消防保安課、倉敷市防災危機管理室及び倉敷市消防局担当者から成るコンビナート防災計画見直しワーキンググループが設置されており、アセスメントがまとめられた被害想定などをもとに見直し作業を行う予定となっている。
危険物タンクや防油堤等は、法令に基づく耐震基準で建設されておりますが、液状化対策、津波対策等とともに、見直しが行われた計画での再確認が必要になるものと考えている。なお、一定規模以上の屋外タンクにつきましては、新たな法令基準に基づく耐震改修が計画的に進められているほか、津波対策としては、消防庁提供の津波被害シミュレーションソフトにより、現状の浸水深さではほぼ問題がないことを確認している。また、護岸については、国土交通省中国整備局が中心となり、引き続き対策等を検討されていると聞いている。今後も、コンビナート防災計画の見直しや法令改正等に基づき、関係部局と連携をとりながら、安全対策の強化に向けて指導していく。
3.建物耐震改修補助制度の拡充などで安全な住まいを
公共建築物については提案理由説明の中で、平成27年度末までに耐震化率100%に向けて、小・中学校の耐震化を加速させる。幼稚園、保育所の園舎耐震化についても計画的に取り組みを進めると述べている。建物の耐震化は、命を守る上で最も重要な課題であり、公共建物だけでなく住宅の耐震化を進めることは、安全なまちづくりにとって避けては通れない課題である。
本市における新耐震基準以前の住宅の把握状況はどうなのか。また、その状況をどう認識しているのか。昨年11月議会でも提案したが、旧来の耐震改修補助制度だけでなく、シェルター型の補強、建物の耐震化・不燃化を促進するための木造住宅の除去支援など、柔軟な新しい耐震改修補助メニューの創設、あるいは家具等の転倒防止対策への助成制度など、地震災害に強い家づくり、まちづくりを進めることが必要だと考える。その後の住宅の耐震化及び安全対策についての研究結果をお聞きしたい。
▼建設局長(受川良美) 本市における住宅の耐震化率は、平成24年9月発表の国土交通省中国地方整備局の資料によると、平成23年度末で76%、県内では最高の耐震化率となっている。倉敷市耐震改修促進計画では、平成27年度末で耐震化率90%を目標としており、今後も住宅の耐震化に向けた取り組みが必要であると認識している。
議員が昨年11月定例市議会等で提案された新しい耐震改修補助メニューの創設の研究結果については、部分的な改修等について補助の対象となるよう国や県に要望しているが、制度の改正には至っていない。そのため、少しでも耐震化が進むように、本年度木造住宅の耐震改修工事費の補助率を上げ、制度の拡充を行なったところ。今後も、住宅の耐震化及び安全対策について啓発活動に努める。
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